2005-05-27
Sandbox Effect - 砂箱のプリズナーNO.6
DominicからFloridaへ
Dominic以降、Googleは正体を隠すことにした。
- 月一更新は月数回のEverflaxに代わった。
- ページをインデックス追加していたDeepbotが消え、どのGooglebotがその代わりなのか分からない。
- PageRankの更新とは無関係に順位が変わり、ツールバーの見えるPageRankと、順位付けに関係する見えないPageRankとがある。
さらにFloridaによって、Googleの標的はスパムからSEOへと変わった。
- 特定のキーワード
- 特定のサイト
- 特定のSEO
をターゲットにしたフィルタが導入され、OOP(過剰SEOペナルティ)によって、突然、順位変動が起こる。
またSEOとしては、
- ページ内要因:該当ページのキーワード記述
- ページ外要因:該当ページへ向けたリンク
という単純なものから、第3要因を想定しなければ、順位付けは解明されないようになった。
しかしFloridaやAustinでは、第3要因はまだ別働隊であり、正規軍に組み入れられてはいなかった。過剰SEOペナルティにさえ気を付けていれば、上位表示は間違いなかったのである。
新規サイトの憂鬱
編集人が2004年6月に立ち上げたサイトが、特定のキーワードでなかなか上位に出て来ず、不審に思っていた。
Florida級のフィルタがバージョンアップしたのかと、あれこれ手当てを施すが、どれも成果にはいたらない。
しかも、同一パターンのSEOをやっているはずなのに、あるキーワードは上位表示され、別のキーワードは数百番台をうろつくという有様だった。
そのサイトは、「hyperposition.jp」ドメインの、先代の「SEO塾」であった。便宜的に、「SEO塾jp」と表記する。当代のSEO塾は、「hyperposition.com」ドメインの「SEO塾com」である。
特定キーワードのペナルティ?
当時のSEO塾jpは、「Google」「Google対策」では数百番台、ところが「グーグル」で2ページ目、「グーグル対策」で1ページ目となっていたのだ。
- 問題あり
- SEO、Google、Yahoo!
- 問題なし
- 上位表示、グーグル、ヤフー、YST、MSN
そして、特徴的なのは、通常のキーワード検索では恐ろしいほど低い順位なのだが、allintitle、allintext、allinanchorなどの特別構文検索では、10番台あるいは一桁の順位になっていたのである。
これぞまさしく、過剰SEOペナルティのパターンではないか!
FloridaやAustin程度のフィルタなら破る自信はある。過剰SEOペナルティには絶対ならないように、独自SEOも開発済みだ。なぜだ?
万事休している時、アメリカのフォーラムで耳慣れない「用語」でGoogleの異変が語られているのを目にすることになる。
Sandbox Effect
2004年5月あたり以降の新設サイトにペナルティが掛かっているという話だった。
しかもターゲットは、commercial keyword、あるいはmoney keywordというような、商用キーワードに限っていることだった。
ある者は、順位不振の有効期限は3ヶ月といい、新米サイトの見習い期間のような解説だった。
ただし、3ヶ月で地獄から生還した事例も報告されていたが、それ以上経っているのに解除されない報告も数多くあった。
そこで使われていたのが、「Sandbox Effect」だったのだ。
IT用語辞典 e-Words : サンドボックスとは 【sandbox】
保護された領域内でプログラムを動作させることで、その外へ悪影響が及ぶのを防止するセキュリティモデル。「子供を砂場(サンドボックス)の外で遊ばせない」という言葉が語源だと言われている。
Sandbox Effectの風説
新興サイトは、デビュー間なしでは何の実績も持たず、数ヶ月のモラトリアムを経て先輩サイトと肩を並べるべきで、Googleのやり方は正しい。
新規サイトが、同一アンカーテキストで、短期間に莫大なバックリンクを得た場合に限って、ペナルティが科せられる。
特定キーワードで新規サイトが上位表示されない現実を検証しないで、フィルタなど存在するはずがないと豪語する者。
スパムをやっているから順位が上がらないと、紋切型のコメントで失笑を買う半可通。
意図したかしなかったかは別として、なぜGoogleはこのような不具合を放置しているのか、という天動説的愚痴不満。
Sandbox Effectという悪魔の正体
Googleのコメントから
2004年6月のはじめころ、Google側は「sandbox theory」なるものの存在を否定している。
ノーコメントではなかったのだから、新興サイトのモラトリアム説は排除しなければならない。
それどころか、新規サイト専用フィルタという考え方さえ除外する必要もある。
そこで推理すると、特定のキーワードをターゲットとしたフィルタを導入したが、新規サイト狙い撃ちを意図したものではなかったものの、結果として新規サイトのほとんどが上位表示されなくなった。そうは考えられないだろうか?
特定のキーワード
すべてではなく、特定のキーワードに、フィルタがかけられることは間違いないだろう。
commercial keyword、あるいはmoney keywordというような商用キーワードは、AdWordsの入札状況から、また人気キーワードなどは、検索頻度が高いものなど、データは取り放題である。
特に、Googleは商用サイトを情報サイトの下におく価値観を持っている。ダイアモンドを売るサイトより、ダイアモンドを解説するサイトの方が、順位が上になるべきと明言しているのである。
とにかく、商用キーワードのSEOは、既にレッドゾーンに達していることを自覚しなければならない。
Googleにとって、商用サイトが順位下落するというのは望ましいことであって、フィルタの機能不全であっても、改善の腰は重い。
逆に、情報サイトの順位が落ちて、販売やアフィリエイトや過剰SEOやスパムばかりが上位を占めた場合は、対応に尽力するのである。
というか、もともとフィルタ自体が、
販売やアフィリエイトや過剰SEOやスパムを落とす目的を持っている。
時間軸の設定
時間軸としては、サイトの開設時期といったものではなく、Googlebotの初巡回か、はじめて他ページからのリンクをインデックスした時か、何らかのGoogle的タイムスタンプがデータベース化されたと思って間違いない。
しかし、意図してはいなかったが、結果として新規サイトのジェノサイドが起こった、そういう仕組みを想定しなければならない。
老舗サイト有利説とトラストリンク
ここからは、現在のGoogleアルゴリズムでもあるから詳細は述べないが、あるサイトというか、ドメインというか、URIというか、それが特定のトピック(キーワード)によってクラスタリングされている可能性がある。
クラスター (Cluster)とは、英語で「房」を意味する言葉であり、それから転じて数個から数百個(場合によりそれ以上も含める)単位での集まりのことをクラスターと呼ぶ。
さらには、特定トピック(キーワード)のクラスタに属するページ群のリンク関係なども、別途にデータベース化されていて、評価が確定済みのリンク関係を築いている老舗サイトはいかなる順位変動にもさらされないのではなかろうか?
つまり、一方でサイト・ドメイン・URIなどがトピック・クラスタに関連付けられ、他方でトピック・クラスタの中でページ同士のリンク関係がデータベース化されている、という想定。
- よって、トピック・クラスタに関わるフィルタを導入し、このトピック・クラスタにインプットされていない新規サイトがはじき出される。
- あるいは、特定トピック(キーワード)のクラスタで、シードサイト(あるいはページ)が選出済みで、このページからのリンクがトラストリンクとなり、トラストリンクがないサイトやページにペナルティが科せられた。
- また、非商用キーワードや非人気キーワードの場合は、こういったトピック・クラスタが作成されていないか、不十分だった。よって、キーワードによってフィルタが発動したりしなかったりすることもありということになる。
Sandbox Effectは、(1)のケースだったのではなかろうか。そして、トピック・クラスタが差分を吸収しバージョンアップしたので解除されたと。
なお、日本語キーワードの方が早く解除されている。これは、トピック・クラスタのボリュームの問題もあると思う。Googleは英語の方が得意だから、トピック・クラスタも厳密になるとか。
何にしても、Googleが過剰SEOを排除する仕組みとして、アイテムなりパスポートなりを設定したところ、新設サイトは誰も持たざるものだったので、砂箱の囚人になってしまったと…
SEO塾の実験
hyperposition.jp(jp)は2004年6月稼動、これに対しhyperposition.com(com)は2003年7月稼動。
2004年12月、サーバトラブルからSEO塾サイトなどを一時的にjpからcomに移転。緊急避難的措置で、暫定的な行動だった。
しかし予想どおり、Sandbox Effectでペナルティを科せられていたすべてのキーワードが、尽く上位に表示されはじめたのだ。
移転に過ぎなかったので、「ページ内要因」はまったくそのまま。「ページ外要因」は、管理している別サイトからのリンク先をjpからcomに変更しただけ。他人様のサイトでは、jpへのリンクも散見されたが、htaccessの301リダイレクトで手当てした。
もともとあった「www.hyperposition.com」のサイトを潰してしまったから、ここの百数十ページからのリンクが消滅し、SEO塾comの「ページ外要因」そのものはSEO塾jpに比べるとかなり弱体化したことになる。
完全に同一内容のサイトなのに、SEO塾jpではペナルティがかかり、SEO塾comではフィルタが回避できたのだ。
こうしてSEO塾は、長い長~いプリズナーの6ヶ月間を経て、見事脱獄に成功したのである。
Sandbox Effectからの開放
SEO塾がドメイン移転という離れ業で脱出した直後、2005年1月25日、日本語キーワードでSandboxが解除されることとなる。
Sandboxに捕らえられていた新設サイトは、ほぼ最適化の度合いに応じて上位表示されるようになる。
ただし、これにともない既存サイトの既得権益が剥奪されて、次々と上位を奪われる反動も現れたことは言うまでもない。
つまり、大きな順位変動となったのである。
なお英語圏ではその時点でも解除されず、現在進行中のUpdate Bourbon(2005-05-17スタートのGoogle更新)にて、かなりのサイトの拘禁が解かれたらしい。しかし、まだSandboxから開放されないサイトもあるとのこと。
それにしても、次にSandbox的なフィルタが導入された時は、新規サイトを立ち上げるには、古いドメインの下にディレクトリを作るか、サブドメインにするか、そういった姑息な手段を講じるしかない。
いままでのGoogle、これからのGoogle
Dominic、Florida、Sandboxの三部作となった考古学的アプローチだが、Googleのアルゴリズム変更ないしフィルタ導入の歴史の記述でもあった。
断続的に襲い来る順位変動を解明し予防するための、遺物や遺跡の発掘作業だったわけだ。
なお、一般的な本やサイトのSEO情報は、ほとんどがDominic以前のレベルであり、博物館的な古典に過ぎないことは理解していただけただろうか?
キーワードを記述することや、リンクされる(させる)ことだけのレトロSEOはとっくに終焉を迎えているのだが、今後もっとも注意するべきは、第3要因と、SERPsのカスタマイズやパーソナライズである。
第3要因としては、自らシードサイトを目指すか、シードサイトからリンクされるほどの優良コンテンツを作り上げるしかなくなり、作為は封じられる。
しかもシードサイトは、商用サイトからは絶対に選ばれることはなく、情報サイトからのみリストされるはずである。
もしユーザーが、検索結果に好みや地域などのフィルタリングをかけはじめたなら、SEOはひとつの時代を終えることになるだろう。ただしそれでもランキングのルールはあるだろうから、適者生存できる者のみが…
2005-05-27 08:36 AM



